地中に宝石が在りました。
とても美しい宝石です。
だけど余りにも奥深くに在るので、
誰一人として其れに気付く人は居ません。
宝石は呟きました。
「輝けない宝石なんて意味が無いよ」
周りの土が応えました。
「在るさ」
宝石は考えました。
そして言いました。
「人目に触れない限り僕は石ころ以下さ」
宝石は自分で言いながら悲しくなって来ました。
「そんな事無いよ」
土はそう言いましたが宝石は信じられません。
「そんな事無いよ」
土は続けました。
「君を包んでいる事が僕の誇りだ」
−−−−
宝石は涙を流しました。
其の涙は優しい土の中に吸い込まれて消えました。