1230

こじかは気が付くと、テーブルについていました。


 目の前には食事が置かれています。パンとスープとサラダとウインナーとコーヒーとうさぎのりんご。


 となりにはこぶたが座っていて、こぶたの食事は少しこじかとは違います。こぶたの牛乳を見てうらやましく思ったこじかは言いました。
「わたしのコーヒーと あなたのぎゅうにゅうを こうかんしてくれない?」
こぶたは答えました。
「ぼくは コーヒーのほうがすきだから いいよ」


 2匹は交換しましたが、いつの間にかこじかカップにはコーヒーが、こぶたのカップには牛乳が入っています。2匹が何度交換しても、やっぱりそうなってしまうのです。


 「しかたがないね」
こぶたはそう言うと、自分の食事を取り始めました。その様子を見てこじかは、自分に与えられた食事を改めて見つめました。

1228

たぬきは朝起きて
「きょうは なにかいいこと ないかな」
と思いました。


そして、洗濯機を回しながら、歯みがきを始めました。
鏡の中の自分のぷるんとしたおなかを見て
「キュって きんにくムキムキに ならないかな」
と思いました。
もちろんムキムキにはなりません。


洗濯機がとまったので
「せんたくものが ハンガーのところまで とんでいって ほされてくれないかな」
と思いました。
もちろん飛んでいってはくれません。


洗濯物を干しながら
「このあいだ コンコンせきをしていた きつねくんは げんきかな」
と思いました。
もちろん元気かどうかはわかりません。


おもっても なにも かわらないな。
なにも わからないな。


たぬきは
「せんたくものを ほしたら きつねくんに でんわをしよう」
と思いました。


まだコンコン咳をしていたら、はちみつを持って会いに行こう。
もうコンコン咳をしていなくても、はちみつを持って会いに行こう!