1132

「貴方と手を繋いでいたら飛べない。
 鳥は翼を繋ぎ合って飛びはしないの」


そう言って君は僕の手を放した。


君は鳥じゃないんだよ。
君はこの手を放しても飛べやしないよ。


どうして僕はそう言わなかったのだろう。
そう言えなかったのだろう。


落ちる君を見たかったのかもしれないと
そんなことを考えると、勝手に気まずい。