549 打ち上が

打ち上がる花火を見据えながら、
一歩一歩近付いて行った。
湧き上がる歓声を聞きながら、
一向に違うと思った。


足りない、全然足りない。


人込みを掻き分けて辿り着いた
最前列でも、遠い。


音の振動で身体が震える所まで、
近くに行きたかった。
自分が壊れてもしまっても、構わないから。

−−−−

君の近くに行きたい。
君の鼓動を、
此の全身で感じる位。