0015
ある村に少年が住んでいた
その少年の母親は病気だった
少年は母親の病気を治す方法を探し始める
そしてある種の存在を知る
その種を蒔き咲いた花を煎じて飲むと
病気が治るというものだった
ただその種を見たことのある者は今はもう居ない
それでも少年は種を探し続けることにした
愛する母の為に
そして自分の為に
学校や仕事の合間を縫っては種を探し続け
少年はいつしか青年へと成長していた
しかし種はまだ見つからない
心の中では諦めながらも
病気に苦しむ母親の姿を目にする度
青年は種を探しに出掛ける
そしてとうとう見付けた
暗い洞窟の中に一粒の種を
持ち帰ると村の人達はそれはただの石だと言った
見つけた場所が場所なだけに
青年は石なのだろうと思い始める
しかし母親にはやっと探し出したものが石だった
とは言うことができない
青年は母親の目の前でそれを庭に蒔き
仕事を兼ねて再び種を探しに旅に出る
青年が旅に出ている間に蒔いたものから芽が出る
だが青年は芽が出たことをまだ知らない